今更聞けない!?キャッシュフロー経営とキャッシュ確保の戦略

キャッシュフロー

こんにちは、中小企業診断士の古川里奈です。

今日は融資がらみのブログやTwitterで何度かお伝えしている、「キャッシュの確保が最重要!」について、
キャッシュフロー経営の観点からご説明させていただきたいと思います。

キャッシュ確保のための手段として融資の活用をおすすめしています


キャッシュフロー経営とは

キャッシュフロー経営とは、キャッシュ(現金)の流れに注目し、手元に入ってくる現金を最大化させることを目的とした経営手法のことです。

営業黒字であってもその多くを売掛金が占めていたり、取引先と支払い・入金のサイクルのずれがあると一時的に現金が減ってしまう可能性があります。このような状態でさらに不良債権が発生すると現金がショートし、黒字倒産に追いやられる可能性もあります。

逆に、赤字が続き債務超過となっていても、十分な現金が手元にあり支払いを無理なくこなせていれば事業者は活動を続けることができます。

一般に、投下資本が増えれば増えるほど、リターンも大きくなります。
(利回り5%の事業に100万円投下するのと1億円投下するのでは、1億円投下したほうが100倍利益効果をもたらすと想像してもらえるとわかりやすいかと思います)

しかし、資本の全てを投資に回してしまうと、大きな状況の変化…例えばコロナ禍の影響を受けたり取引先の経営状況が怪しくなったり…が発生した時に自らの事業を守ることが難しくなってしまいます。

つまるところ、手元にある現預金の余裕は、事業を大きくする攻めの資金にも不確実性からの守りの資金にもなりえると言えるのです。

これがキャッシュフロー経営の主要な考え方であり、「キャッシュが一番大切!」とお伝えしている理由です。


3種類のキャッシュフロー

キャッシュフロー経営を考えるとき、まず事業活動における現金の流れを次の3つに分類します。
それぞれ何を指すのかについて見ていきましょう!

  • 営業キャッシュフロー
  • 投資キャッシュフロー
  • 財務キャッシュフロー

ちなみに、この記事では考え方の説明のため、直感的に分かりやすい直接法をベースに解説しています。
実際に財務諸表からキャッシュフロー計算書を作成する際には数値をそのまま使える間接法で計算する場合がほとんどだと思いますが、記事の目的から逸れるため記載しておりません。


営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、営業活動…すなわち、通常の事業活動の中で発生するキャッシュの流れを指しています。

例えば、小売店であれば次のようなキャッシュフローへの効果が考えられます。

営業キャッシュフローへのマイナス効果…仕入先から商品を仕入れた時に支払った費用(支払っていない買掛金などは含まない)、支払った買掛金、店舗の家賃や光熱費、販売システムの保守管理費、従業員の給与、支払った税など

営業キャッシュフローへのプラス効果…商品を販売して受け取った現金(支払われていない売掛金などは含まない)、前期からの期ずれで受け取った売掛金など

営業キャッシュフローがマイナスの場合、事業で現金が減っている危険な状態だと言えます。

マイナスである場合は、「今期だけたまたま大型の売上による入金がずれこんだのか?」「前期に立った売上の仕入の支払いが今期にずれこんだのか?」「そもそも支払サイトと入金サイトにずれがあるのではないか?」「棚卸資産が多すぎないか?」など、キャッシュの流れを振り返り、原因を特定・改善する必要があります。


投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローは、投資活動によるキャッシュの流れを指しています。たとえば固定資産として機械装置を購入した際に支払う額があげられます。財務上は減価償却費が償却期間中設定され毎年少しずつ費用が出ているように見えますが、実際には購入代金の全額が支払った期に出ているため、全額が投資キャッシュフローにおけるマイナス効果として考えられます。

そのほか、次の要素などが投資キャッシュフローへ影響します。

投資キャッシュフローへのマイナス効果…設備投資、固定資産取得にかかった費用、定期預金や有価証券の購入費用

投資キャッシュフローへのプラス効果…固定資産や有価証券の売却によって得られた現金、払い戻した定期預金、補助金の受取額など

投資は利益を大きくするために投下される資金のため、営業キャッシュフローがマイナスの場合と異なり、投資キャッシュフローがマイナスであることは健全な状態であると言えます。ここでのチェックポイントは、単純な額の多寡ではなく過剰な投資になっていないかどうかです。


財務キャッシュフロー

最後に、財務キャッシュフローです。財務キャッシュフローは財務活動によるキャッシュの流れを表し、金融機関からの借り入れや他社からの出資による資金増減を表しています。

財務キャッシュフローへのマイナス効果…借入金の返済

財務キャッシュフローへのプラス効果…固定資産や有価証券の売却によって得られた現金、払い戻した定期預金、補助金の受取額など

財務キャッシュフローは、プラスであればよい・マイナスであればよいというものではありません。
順調な資金調達が行われればプラスになり、また出資者への還元が進めばマイナスになるものだからです。

財務キャッシュフローで確認すべきポイントは、資金調達のコストがどれだけかかっているかです。
事業が成長して信頼が構築されれば、より有利な条件で資金調達を行えるようになります。

従来より有利な条件…例えば借り入れ金利が高ければ借り換えなどによって金利を引き下げる、借り入れのみで資金調達を行うのでなく株式や社債の発行を行うなど、現在の事業の状況にあった資金調達が行われているかを確認するのがよいでしょう。

フリーキャッシュフロー改善のための戦略

フリーキャッシュフローとは

フリーキャッシュフローは、一般に営業キャッシュフロー+投資キャッシュフローで示される、「事業者が自由に使えるキャッシュ」です。

営業活動で持続的なキャッシュインを生みながら、その一部を投資に回して更に営業活動によるキャッシュインを増やす…というのが理想形です。

フリーキャッシュフローの改善策

フリーキャッシュフローの改善策は、投資キャッシュフローよりも営業キャッシュフローの正常化に注目して実施すべきでしょう。

営業キャッシュフローの正常化のためにまず改善を試みるべき点としては、次の3つです。

  • 売上債権が多すぎてキャッシュインが少なくなっていないか?
  • 仕入債務の解消によるキャッシュアウトが多すぎないか?
  • 棚卸資産が多くないか?

売上債権が多すぎると、「売上が入ってくるのは確定しているのに手元資金がない」という資金が拘束された状態となります。例えば、売掛金や受取手形の信用期間を短縮化することで早期の資金回収を図ることができます。
取引先との関係上それが難しい場合は、現金割引を行うことで回収スパンを早めることも効果的です。

仕入債務の解消によるキャッシュアウトが大きすぎる場合は、私の経験上支払い期間の問題というよりはむしろ、仕入れの単位が大きすぎる可能性が高いです。
一回あたりの仕入れのロットを縮小し、手元の現金が減りすぎないようにすることが効果的です。

棚卸資産が増えすぎていることへの対策については、キャッシュアウトを伴う取引の単位を小さくすることが有効で、仕入債務によるキャッシュアウトと似た考え方ができます。しかし、棚卸資産が増えすぎている場合、仕入債務と異なりいつ売上が立つか分からないという根本的な問題を抱えています。
受注生産を取り入れたり、小売業であれば購入型クラウドファンディングを活用することで需要の読み誤りを防ぐことが有効な対策となります。


まとめ

売上、利益だけではなく、今手元に事業にすぐ使える資金がいくらあるのか?というキャッシュフローにも気を配っていくことが、事業の成長を安定化させるキャッシュフロー経営のポイントです!


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