こんにちは、中小企業診断士の古川里奈です。
本日は、フリーランスや数人で事業を行うスモールビジネスの経営者様に向け、「そもそも事業計画って必要なの?」「なぜ立てたほうがいいの?」という話です。
はじめに
当事務所では、経営改善支援の一環として事業計画の策定支援を実施させていただいています。私自身、中小企業診断士の登録を受ける前からNTTの主要会社で受注や売上、各種戦略の事業計画策定を様々な部署(平均1,000人規模)で約4年間実施してきました。その経験から事業計画の必要性や効果的な活用について強く認識し、当事務所を設立後は自身の計画も策定・都度更新しています。その経験なども踏まえて、今日は特に小規模事業者・フリーランスを想定した事業計画について説明させていただきます。
小規模事業者が事業計画を立てる4つのメリット
小規模事業者のお客様とお話をすると、事業計画を立てたことがない・最新化していない方が非常に多いことに驚かされます。そしてこれにはおそらく3つの理由があり、一つは現在ある業務に忙しく事業計画を立てる時間がないこと、次に事業計画の立て方が分からない・数字に抵抗感があること、そして最後に事業計画を立てる意味が分からないことではないかと思います。
確かに事業計画は立てるのに時間が必要で、またとっつきづらいものです。しかし、それでも事業計画の策定をおすすめするのは、次に示すような4つの大きなメリットがあるためです。
①自分の事業と立ち位置が分かる
スモールビジネスとしてなにかの事業を行う際、自身の事業は必ず広い業界の中で多くの同業者の中に存在することになります。どんな事業であっても、業界の中で自身のサービスや商品が選ばれるための戦略が必要です。
必ずしも市場の中で最も優れている必要はありませんが、誰に何を売るのか、どうして顧客は自分のサービスを選ぶのかはある程度知っておく必要があります。
この「自分の事業の市場における立ち位置」を知ることは、広大な大海原において、海図を持つようなものだと考えています。選ばれる理由は何らかの強みがあるからで、選ばれない理由はライバルの強みのほうが勝っているからです。その理由は、「たまたま近くにあった」「話した時にいい印象を与えられた」などの些細なことかもしれませんが、それら一つ一つを重ね合わせることで、座標のように自身の立ち位置を把握することができるようになります。
②どこを目指すべきかを決められる
①によって自身の立ち位置が分かると、自ずと何を目指すべきかも定まってきます。なぜなら、ここで目指すべきことは3つだけだからです。それは、自身の強みを伸ばすこと、弱みを補う(弱みというよりはライバルのほうが勝っている部分)こと、異なる分野への進出を考えることです。
スモールビジネスの場合、弱みを補うことにリソースを使うよりも強みを伸ばしていくことに経営資源を使ったほうが効果的な場合が多いです。苦手な分野で弱みを多少補っても、よりそれを得意とする多くのライバルから顧客を得ることは難しいからです。
弱みを補っていく戦略を取る場合は、ただ弱みを消すだけではなく、既存の強みと組み合わせて独自の強みとすることがよいでしょう。
③やらなくていいことが分かる
「やらなくてよいことが分かること」。これが、私が考える最も大きな事業計画策定のメリットです。目指すべきところが分かるということは、裏を返すとやらなくてよいことが分かるということです。
今後付き合っていきたい顧客、扱いたい商品やサービス以外は扱わない・取り扱いを縮小する、一部を外注に回すなど「やらないこと」を決めることで、そこに割く経営資源をまるっと節約することができます。スモールビジネスやフリーランスの場合、本業を行い収益を稼ぐ役目の人達が、本業以外のあらゆる業務を行わなければならないという課題を抱えています。少しでも本業に集中するリソースを確保することが事業の成長には必須です。
④目標の達成状況について振り返りができる
計画を立てることで、後から振り返りができるようになります。例えば単純に「売上を1.5倍にする!」と決めた結果売上が2倍になったのなら目標は大幅にオーバーし達成、前期と同じであれば目標未達、と分かります。
事業計画を策定した際にどのような戦略を立て、その効果はどうだったか、適切な計画だったかを振り返り活かすことで次の期に向けては①~③で示した事柄について、更に精度・効果の高い戦略を立てることができるようになります。
私自身の場合
冒頭で書いたとおり、私自身も当事務所の事業計画策定を行っています。
ご挨拶のページへも記載している「経営理念」の達成に向け、以下の6項目について定め手元でいつも見返せる状態としています。
- 私が属している業界について
- 誰に何をどう提供するか、しないか
- 自身のサービスのセールスポイント
- 販売戦略
- 売上・利益計画
- 自己研鑽の計画
販売戦略や売上・利益計画では、何をどう行っていくかをかなり細かく設定しています。ブログも当初は毎日更新と計画していましたが、それは時間が確保できずすぐ修正することとなってしまいました。笑
ブログに限らず、将来の案件ややりたい仕事に向けた種まきとなる活動はKPIもあわせて設定しています。
自己研鑽の計画は事業計画としては異色はでしょうか。つい目の前の仕事を進める方を優先してしまいがちですが、経営コンサルタントとしてお客様へ提供できる情報をアップデートしていくため、時間と費用をしっかり確保するようにしています。
事業計画を立てる上で注意すべき2つのポイント
最後に、私が考える事業計画を立てる上で注意すべきたった2つのポイントをご紹介します。
①高すぎず低すぎない目標のために裏付けを考える
企業で働いていたことがある方なら、「こんなの絶対に達成できない!」というような目標や「今年と同じようにやれば余裕で達成できそうだ」という目標を見てがっかりしたことがある方も多いのではないでしょうか。
事業計画を立てる上で、一番避けなければならないポイントは絵に描いた餅となることです。現状にそぐわない目標設定になると、目標が形骸化→興味を失う→計画に沿った行動をしなくなるという負のサイクルに陥ってしまいます。
ちょっと背伸びをしたくらいの少し高い目標(どう達成できるかも試算)を設定することがポイントです。
②計画の「立てっぱなし」は絶対にしない!
①で「高すぎず低すぎない」目標について話をしましたが、「思ったよりも無理があった」「思わぬ要因が出た」「意外と戦略が外れていた」など、事業を進めてみて初めて目標の高さの程度や戦略変更の必要性について認識することもあるでしょう。
にもかかわらず、以前に立てたままの事業計画を変更せず使い続けると、本来事業の見通しを立てるための事業計画が、事業を狂わせることになりかねません。適切な事業計画の運用にはメンテナンスが不可欠です。
過去に立てた戦略や数値については、適宜振り返りを行い、都度修正を行いましょう。新しい道を見つけたら地図に書き込むように修正を重ねることで、事業計画は更に素晴らしいものになり、事業のさらなる成功に導くツールとなるでしょう。
以上、スモールビジネス向けの成長戦略のための事業計画についてでした!
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